№199 居住用賃貸マンションに係る消費税の課税関係

2025.09.07

個人事業者または法人がマンションを取得し、これを個人に居住用として貸付け、その後譲渡した場合、消費税の課税関係はどうなるか質問があったので解説します。

1.課税の対象

消費税の課税対象は、①国内において、②事業者が事業として、③対価を得て行う、④資産の譲渡等をいいます(消法2条、4条①、消基通5-1-1~3)。

①「国内取引」が対象となるので、国外取引は課税対象外となります。
②「事業者」とは事業を行う個人と法人をいいます。「事業として」とは対価を得て行われる資産の譲渡等を反復、継続かつ独立して行うことをいいます。
③「対価を得て行う」とは、対価を受け取る取引をいいます。無償で行われる取引は、消費税の課税対象外となります。
④「資産の譲渡等」とは、資産(※)の譲渡(商品や製品などの販売)および資産の貸付けならびに役務(サービス)の提供をいいます。
(※)資産とは、取引の対象となる一切の資産をいい、棚卸資産または固定資産のような有形資産のほか、権利その他の無形資産が含まれます。

2.非課税となる取引

上記1の課税の対象であっても、消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、非課税取引が定められています(消法6条、別表第二)。

この中で、居住用賃貸マンションに関連する非課税規定は以下の通りです。

①別表第二の一
土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡及び貸付け(一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)
②別表第二の十七
住宅の貸付けで、契約において人の居住の用に供することが明らかにされているもの(契約において貸付けの用途が明らかにされていない場合にその貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかなものを含みます)。
ただし、1か月未満の貸付けなどは非課税取引には当たりません。

以上の法令を前提に、取得時、賃貸時、譲渡時の3つに分けて消費税の課税関係を見ていきます。

3.消費税の課税関係

(1) 取得時(仕入れ税額控除の判定)

居住用賃貸マンションを取得した場合、土地の取得費は別表第二の非課税取引に該当するため、仕入れ税額控除の対象外となります。

また、建物の取得費は住宅の貸付けという非課税取引にのみ対応するものであるため、通常は仕入税額控除の対象となりません。

しかし、取得時の課税期間における課税売上割合が95%以上かつ課税売上高が5億円以下の場合は、建物の取得費を含め、すべての課税仕入れが仕入税額控除の対象となっていました。

そこで、令和2年の税制改正で、居住用賃貸建物のうち高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産に該当するものに係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象としないこととされました (消法30条⑩)。

「高額特定資産」とは、一取引あたり1,000万円(税抜)以上の棚卸資産又は調整対象固定資産のことをいい、「調整対象自己建設高額特定資産」とは、これを自ら建設したものをいいます(消法12条の4)。

この改正は、令和2年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入が対象になります。

(2) 賃貸時(非課税売上の判定)

居住用マンションを賃貸した場合、住宅の貸付けは別表第二の非課税取引に該当するため、家賃収入に消費税は課税されません。

ただし、居住用と事業用が混在している場合は、その構造や設備等の状況により居住用とそれ以外の部分を合理的に区分しているときは、居住用賃貸部分についてのみ非課税となります。(消令50条の2①)。

「合理的に区分している」とは、使用面積割合や使用面積に対する建設原価の割合など、実態に応じた合理的な基準により区分していることをいいます(消基通11-7-3)。

(3) 譲渡時(課税売上の判定)

居住用マンションを譲渡した場合、「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」に該当するため課税の対象となります。

譲渡等は、別表第二の「住宅の貸付けによる非課税取引」に該当しないので課税されます。

また、土地や借地権の譲渡は非課税となるため消費税は課税されません。

居住用マンションを譲渡した場合、消費税は以下のように計算します。

  • 譲渡価額を「土地」と「建物」に区分する。
  • 土地の譲渡価額は非課税。
  • 建物の譲渡価額×消費税率(10%)=消費税額。

このように、土地と建物の価額を区分して譲渡契約を結ぶことが必要となります。

ただし、譲渡契約書に土地と建物の合計金額が記載されている場合は、土地と建物の価額を合理的な方法で按分し、建物部分にのみ消費税が課税されます。

合理的な方法として次のような考え方があります、私見としてはそれらの価額の平均値とするのが客観的かつ公正であると思います。

  • 固定資産税課税標準額で土地と建物の価額を按分する。
  • 路線価で土地の評価額を計算し、譲渡価額との差額を建物の価額とする。
  • 国税庁が公表する「建物の標準的な建築価額表」で建築時の建物価額を計算し、譲渡するまでの減価償却額を控除した残額を建物の価額とする。

(完)

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